

スタッフコメント
監督:石平信司
第一印象は「そっちかー!」というパンチ力。 あれは原作を初めて読んだ時でした。まさに1話。 色んな意味でジャンル慣れというか、「これ系ならこう来るだろうな」という勘が働く自負があったせいで、見事に裏をかかれた心地よさ。 アニメ化で監督のお話を頂いて「これはアニメでも必ず盛り上がる!」と確信した…というより、「是非やらせてくれ!」なノリでした。 10年間ほどファンタジーにバトル、ギャグものを手掛ける機会が多かったので、久しぶりのサスペンス…しかも1話以降も何度も「そっちかー!」となる展開の作品なんてそうそうありません。 自分の監督作品の中でもちょっと特殊な出来になってます。 制作現場も音響も尋常ではない高揚感で作業に没頭しております。 とにかく「初めて読んだときの衝撃」をそのままアニメで再現すべく、あの手この手で工夫しながら制作してるので、お楽しみに!
シリーズ構成:志茂文彦
「無能なナナ」に参加することになったきっかけは?
制作スタジオのブリッジさんから依頼されたのがきっかけです。ほぼ2年前ですね。
原作を読んでの印象は?
「学園異能力バトル」ものとしては非常にユニークだなあと。 ネタバレできないから、くわしくは言えないけど、とにかく、ほかで見たことがないほどユニーク。 原作を読まれた方ならおわかりいただけると思いますが、まあ本当にユニークで。同じことくりかえしてますけど(笑)。 アメリカのテレビドラマで、次々に予想外の展開が起きるノンストップサスペンス、みたいな番組がよくありますが、そんな印象でした。 僕は、いわゆる「日常系」と呼ばれる作品を依頼されることが多いんですよ。 ファンタジックな要素があったとしても、割とのほほんとした雰囲気で、学園生活や、家や寮での日常生活の楽しさを描くような作品ですね。 そういうのが自分の資質にも合ってるな、とも思うんですが、今回はかなりハードで、いつもと雰囲気がちがいますね。 だからすごく新鮮だったし、実はミステリも好きなので、こういうジャンルに挑戦できるのがうれしかったですね。
書くにあたって気をつけたことなどは?
普通は、長いストーリーの原作を元にシリーズ構成を作る場合、1話ずつの起承転結を考えて、「派手なバトルなどのヤマ場は、後半のBパートにもってこよう」とか、「原作で『次回につづく』になっているところが、やはり区切りがいいから、アニメでもここで『つづく』にしよう」とか、そういうことに気をつかうんです。 でも、「無能なナナ」の場合は、う~ん、なんていうのかな、いまみたいなことも考えつつ、ですが、でもむしろ、「1本の長い話を、話数分等分する」という方針で構成した形に近くなったかもしれないですね。 これもアメリカのテレビドラマで、たまにあるやり方だと思います。 こういうシリーズ構成のやり方もあるな、と、前々から考えていたんですよ。今回、結果的にそれに近いことができたかなと。 だから、話数によっては、大きな事件が前半にくる回とか、「え? ここで『次回につづく』なの?」と感じられる回もあるかもしれませんが、それは実験的な試みということで見ていただけたらと思います。
実際の作業はどのような感じで?
石平信司監督とも、いっしょにシナリオを書いてくださった米村正二さんとも、長いつきあいなので、非常にスムーズでした。 東新宿のスクウェア・エニックスさんの会議室で、毎週一回、打ちあわせをしてたんですが、だいたい1時間かからずに終わってましたから。 残念ながらアフレコは、スケジュールの都合でほとんど行けなかったんですが、キャストの声優さんたちも、前々からいろんな作品でごいっしょしている実力派の方が多いので、安心しておまかせできました。
最後に、これを読んでくださっている皆さんにメッセージを
この作品では、主人公は「人類の敵」と呼ばれる存在と戦っています。いま(2020年4月)は、新種のコロナウイルスが世界に広まって、まさに「人類の敵」との戦いが行われているところです。 「無能なナナ」はもちろん、原作もアニメも、こういう事態を想定して作られたわけではないんですが、結果的に、非常に示唆(しさ)的な作品になったかなと。 つまり、「人類の敵」との戦いの中で、人と人の不和や対立が深まっていくことの恐ろしさ、などについても考えるきっかけになるんじゃないか、というようなことも、いま、思っています。 まあ、とはいえ、もちろん基本はエンターテインメイントなので、まずは気楽に、主人公たちの冒険、活躍、襲いかかる危機また危機、それを切り抜ける知略や、火花散る頭脳戦などをたっぷり楽しんでいただければと思います。 ぜひ、応援をよろしくお願いします。
キャラクターデザイン:佐野聡彦